県道道メモ(2003年6月18日)

五霞町の越県合併、先行き不透明に

3月に「みちノート」の中の「市町村合併 — 五霞町の場合」というタイトルでお伝えした、五霞町と埼玉県幸手市との県境を越えた合併の動きについて、その後現在までの情勢をまとめてみたいと思います。

2月に法定合併協議会の設置を議会で可決した両市町では、その後4月1日に法定合併協が発足。4月16日に法定合併協の初会合を開催し、順調に協議が進むかに見えました。しかし4月27日に投票が行われた統一地方選挙で、幸手市議会では定数25のうち、埼玉県久喜市との合併を優先すべきと主張する議員が13人当選し、議会の勢力が逆転。情勢は流動的となりました。

幸手市長は従来どおり五霞町との合併を推進するとの方針で、5月27日に第2回法定合併協議会を開催。合併方式は編入合併とし、新しい市名は幸手市、合併期日は2005年3月とする等を決定しました。これに反発を強めた幸手市議会は6月2日、久喜市・鷲宮町との合併優先に関する決議を賛成多数で採択。決議文は「市議選の結果、久喜市・鷲宮町との合併優先が民意であることが明確に示された。市長、市議会は民意を真摯に受け止め、久喜市・鷲宮町との合併を優先するために総力を結集すべきだ」との内容で、市長と市議会との対立は決定的になりました。

翌6月3日、幸手市長は五霞町役場を訪問、五霞町との越県合併をこれまで通り進めるとの方針を確認。五霞町側は決議採択は合併を否定されたわけではないとの考えを表明しました。

そしてついに6月5日、久喜市との合併優先を掲げる幸手市の市民グループが幸手市長の解職請求(リコール)運動を開始することを表明、6月16日に幸手市選挙管理委員会にリコール請求を申請しました。市民グループの代表は「市議選で久喜市・鷲宮町との合併を望む声が多くの議員を当選させたにもかかわらず、市長は具体案を示さず、五霞町との合併にこだわり続けている」と、リコールの動機について語りました。リコール請求の告示後30日以内に有権者の3分の1(約1万5000人)以上の署名が集まれば、賛否の投票が行われることになります。今後の情勢はまったく予断を許さない状況であると言えます。

一方、五霞町では役場・住民ともに、一連の幸手市側の動きを静観しつつも、最終的に五霞町と幸手市の合併が成就することを希望しているというのが現状です。

以上、現在までの動きを駆け足でまとめてみましたが、今回改めてつくづく感じるのは、市町村合併は恋愛や結婚と非常に似ているな、ということです。いくらラブコールを送っても相手が振り向いてくれないと結婚というゴールは見えない。お互いが相思相愛で一気に縁談話が進む人(例: 常陸太田市など4市町村)、複数の人から求愛されてどちらを選ぶか困ってしまう人(小川町)、「私は一生独身で生きるわ」と決めた人(美浦村)など、市町村合併問題は何だか人生に重ね合わせることができてセンチメンタルな気分になります。

今回の五霞町と幸手市については、個人的には茨城県民として、やはり五霞町を応援したい気持ちはありますが、こればかりは当事者同士で解決することで、外部の人が口を出す問題ではないので、難しいところです。

五霞町と幸手市との越県合併に関しては、私も個人的に興味がありますので、今後も情報がありましたらお伝えしていきたいと思っています。