県道道メモ(2009年12月27日)

水郷有料道路の無料化日は12月30日? それとも31日?

水郷有料道路の無料化が正式決定

水郷有料道路の周辺図
水郷有料道路の周辺図。
鰐川橋
鰐川を渡る水郷有料道路の鰐川橋
(撮影日: 2009年7月5日)

潮来市と神栖市を結ぶ有料道路「水郷有料道路」が、今年(2009年)の末に無料開放されることが正式に決まりました(実際には、正式に決まったのは今年の10月頃だったようですが、私がこれを知ったのは今月に入ってからです。すみません)。

水郷有料道路は、茨城県の有料道路の中では比較的歴史のある路線です。供用開始される前の準備段階における当初の事業主体は茨城県でしたが、1971年(昭和46年)11月1日に茨城県道路公社へ工事が引き継がれ、1974年(昭和49年)4月26日に供用開始されました。1971年(昭和46年)9月25日に設立された茨城県道路公社にとって、水郷有料道路は同公社における最初の有料道路事業となりました。

開通直後の計画では、料金徴収期間は「1992年3月31日まで」とされましたが、その後1991年(平成3年)2月14日に4車線化され、同時に料金徴収期間が「供用開始の日から39年間」(つまり2013年4月まで)へ延長されました。

しかし実際には事業計画を上回る交通量で推移し、すでに2007年度に事業費の償還が済んでいたことが少し前に明らかになりました。本来ならば有料道路は、事業費の償還が終わった時点で無料化されるのが原則ですが、今回の場合は道路整備特別措置法の規定により、同道路の収益が他の有料道路の赤字補てんに充当される「公差制度」という制度を適用し、引き続き料金徴収が実施されていました。この公差制度により、2011年の中頃までは料金を徴収する予定であったようです。

このことを知った潮来市・神栖市をはじめとする地元自治体では、今年に入ってから早期無料化を求める機運が一気に高まり、決起集会が開かれるなど盛り上がりを見せました。そして今年6月の茨城県議会で、知事が無料化を前倒しすることを明言し、時期は今年末をめどにすることを表明しました。地元では悲願が達成され歓喜の声が上がりました。その後は無料化へ向けた手続きが進められていたとみられ、今回の無料化の正式決定となりました。

無料化日をどう定めるか

さて、この水郷有料道路が無料化される日については、自分の中で少々悩みどころでありました。私が最初に水郷有料道路が無料化される日付の情報を得たのは、少し前に茨城県道路公社のウェブサイトで見つけたものでした。同サイトのお知らせには次のように書かれていました。

水郷有料道路の無料開放について

昭和49年4月26日から供用してまいりました、水郷有料道路が下記のとおり無料開放となります。

1 路線名 水郷有料道路(県道水戸神栖線)
2 区間 潮来市延方〜神栖市筒井
3 延長 9.3km
4 無料開放年月日 平成21年12月31日(木)から
5 回数券払戻 回数券の払戻を希望される方は、「回数券払戻申請書」に必要事項をご記入いただき、残回数券(裏にバーコードがある回数券に限る)を添えてご請求下さい。
〔以下略〕

これを見て、水郷有料道路の無料化日は12月31日なのだ、という認識を持ち、年末の慌ただしいときに無料化するんだなあ、と思ったのです。

そして次に、この件に関して見つけた情報は、茨城県の発行する公報である茨城県報に登載された、12月14日付けの茨城県道路公社による公告でした。

公告(道路公社)
有料道路の料金の徴収期間の変更

有料道路の料金の徴収期間を変更するので, 道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)第25条第1項の規定に基づき, 次のとおり公告する。

平成21年12月14日

茨城県道路公社理事長 橋本 昌

1 有料道路名 水郷有料道路
2 料金の徴収期間 (旧)供用開始の日から39年間(換算起算日から27年間)
(新)供用開始の日から平成21年12月30日まで

この公告には、変更後の料金徴収期間が「平成21年12月30日まで」となっていますので、やはり無料化されるのは12月31日からなのだと思っていました(なお、この公告の中にある「換算起算日から27年間」というのが何を意味しているのかは、不勉強のためまだわかりません)。

しかしその後で、再び茨城県道路公社のウェブサイトを見てみると、「お知らせ」の欄が次のように訂正されていました。

水郷有料道路の無料開放について

昭和49年4月26日から供用してまいりました、水郷有料道路が下記のとおり無料開放となります。

1 路線名 水郷有料道路(県道水戸神栖線)
2 区間 潮来市延方〜神栖市筒井
3 延長 9.3km
4 無料開放年月日 平成21年12月31日(木)から 平成21年12月30日(水)正午から
5 回数券払戻 回数券の払戻を希望される方は、「回数券払戻申請書」に必要事項をご記入いただき、残回数券(裏にバーコードがある回数券に限る)を添えてご請求下さい。
〔以下略〕

すなわち、無料開放年月日は一旦「平成21年12月31日から」となっていたのが取り消され、「平成21年12月30日正午から」に訂正されたのです。

茨城県報に登載された、道路公社の公告に記載されている料金徴収期間は「平成21年12月30日まで」となっていますが、これを「平成21年12月30日正午まで」と解釈すれば(あるいは「平成21年12月30日午前11時59分59秒まで」と解釈してもよいでしょう)、一応、矛盾は生じないように見えます。また、実際に12月30日正午に無料化されるのは確たる事実ですから、「水郷有料道路の無料化日は、平成21年12月30日である」と結論付けるのが妥当なのではないかと思います。

日付を定める難しさ

ちなみに、私がこのように無料化した日付というのをクローズアップするのは、後世にどのように伝えるべきかということをどうしても考えてしまうからです。例えば後世の人が、有料道路の歴史を調査して年表を作成したいと思った時に、年表の一項目として「2009年(平成21年)12月30日: 水郷有料道路が無料化」と記すべきなのか、あるいは「2009年(平成21年)12月31日: 水郷有料道路が無料化」と記すべきなのか、これはかなり重要なことなのではないかと思うからです。

今回の、水郷有料道路の無料化日を通して、改めて「日付」についての難しさを知りました。今年1年間の私の課題のひとつとして、「これまでに存在した(あるいは現存する)茨城県内の有料道路について、その開通日と無料化日を定める」という調査をしており、いろいろと調べているのですが、これまでは特に何も考えずに、有料道路の無料化日を「料金徴収期間の末日の翌日」と単純にみなしていました。しかし今回の水郷有料道路のように、必ずしもそうではないケースがあったのだということです。このことにこれまで気付かなかった自分の不勉強さを改めて認識しました。

そのような考えをいろいろと巡らせていくと、このような「○○が△△した年月日」というのは、時としてデリケートな問題になるということがだんだんわかってきました。例えば、現在存在している公共施設(美術館とか、博物館とか、その他いろいろあると思います)がオープンした年月日というのは、調べれば求まりそうなものですが、たとえば仮の話として「平成21年7月1日に、オープンの記念式典を挙行し、関係者や報道陣など一部の人々が参加・見学をおこなった。そして翌日の平成21年7月2日から一般に開放された。」といった場合には、その施設のオープン日は7月1日と定めるべきか、それとも7月2日と定めるべきか。そう考えるとなかなか難しい問題だということがわかってくるようになりました。

だんだん話が脱線してきてしまいましたが、とりあえず私の個人的な結論としては、水郷有料道路の無料化日は「平成21年12月30日」と定めることにしたいと思います。また今後も有料道路の開通日・無料化日など、道路の調査を進めていきたいと思います。