(16) 1991年8月18日 — 鹿児島・佐多岬

晴れ


Diary

8月18日の行程図

西大山駅を通る最初の汽車はなぜか異常に早かった。目が覚めてしまったがまだ真っ暗だったのでもう少し寝て、明るくなってから起きて荷物をまとめてたら、昨夜は暗くてわからなかったが自分が寝てたベンチに旅行者のいろんな落書きがしてあることに気付いた。例えば「日本最南端の駅にきたぞー。ウワサには聞いてたが本当に何もない駅だなあ」とかね。その中にこんなのもあった。

「僕は死ぬかも知れない。いや、もうすぐ死ぬだろう。こんな人生なんて生きていても仕方がない。……」

その隣に別の人が追って書いていた。

「死んじゃダメだぞー。生きていれば必ずいいこともある。生きなきゃダメだよ。」

なんだか旅行者の絆のようなものが感じられて切なくなった。先に書いた人がもう一度西大山駅に戻ってきて見てくれたらいいんだけど。

せっかくだからオレもベンチに落書きした。「1991年8月18日、このベンチをベッドに一夜を過ごす。蚊&ハエがうるさくてよく眠れんかった」。なんかイマイチな文だ。そして西大山駅をあとにした。

鹿児島市内に近づくにつれて何だか空気が悪くなってきた。桜島が噴煙を上げて火山灰が市内に降っているのだ。こんな所で生活している市民も大変だ。鹿児島に午前9時30分着。城山公園を見てから、フェリー乗り場に行ってみた。まだ沖縄へ行くかどうか決めてなかった。台風が沖縄に近づいているらしく、今日の沖縄便は徳之島までの折り返し運航になっていた。行くのなら明日かあさってだと思い、まだ沖縄行きを決定せずに今日はとりあえず九州最南端の佐多岬に行こうと決めた。

鹿児島からR10、R220、R269と乗り継いで佐多岬を目指した。錦江湾の反対側まで回ってきたら桜島の噴煙が鹿児島市内に降り注いでいるのがよく見えた。

R269は佐多町伊座敷で途切れ、反対の山川町へ海を渡る国道である。途切れる地点まで行ってみたら小さな漁港になっていた。FZRを停めて景色を見てたらオッサンが近づいてきて「船を待ってるのか? 船は廃止になって来ないぞ」と言われた。ということは昔は船が出ていたのか? 話を聞いたらそうらしい。昔はここから山川まで船が出ていたそうだ。だからR269はここで途切れているのだな、と納得した。

そして有料の佐多岬ロードパークを通ると岬の駐車場に着いた。ムチャクチャ遠かった。鹿児島から4時間もかかってしまった。岬の駐車場からまたけっこう歩いて、展望台ではアベックばかりで、いやになった。

もう夕方になってしまい、鹿児島へは帰れなくて、今日どこで寝っかなーと考えながらR269を鹿児島方面へ戻っていたら、大根占町内で海岸沿いに建設資材置き場みたいな所があり、大きな四角いドカンが山ほど置いてあって万一雨が降ってもしのげるしと思いここに決めた。ドカンの四角い窓から見える海岸の夜景は最高だった。ビール飲みながらずっと景色を見つめていた。

本日の走行距離: 287km。


Photo

[西大山駅の朝]
西大山駅の朝。ホームで寝た。開聞岳がきれい。
[R58標識]
鹿児島市内でR58標識発見! 那覇まで続く国道です。
[桜島]
鹿児島市街に火山灰をまき散らす桜島。
[R269]
佐多町内のR269。この奥の漁港で途切れる。
[佐多岬ロードパーク]
佐多岬ロードパーク。まるで熱帯に来たみたい。
[佐多岬]
本土最南端の佐多岬。ついにここまで来た。

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