古河停車場線ぶらり旅

2002年3月20日 作成

このページの目次


古河停車場線のヘキサ
県道312号 古河停車場線
起点: 古河市本町1丁目1番15地先 古河停車場から
終点: 古河市本町2丁目1番34地先 県道野木古河線交点まで
総延長: 294メートル
古河市の地図
県道古河停車場線の周辺地図。(MapFan Webで表示: MapFan Web)

(1) まずは古河駅へ

古河市の位置図

古河市は茨城県の最西端に位置し、埼玉県・栃木県と接しています。あともう少しで群馬県にも非常に接近しています。人口約5万9千人、面積約21平方キロで、人口密度は茨城県で最も高くなっています。

古河市には、茨城県で唯一のJR東北本線(愛称: 宇都宮線)の駅である古河駅が置かれています。実は古河駅は茨城県で最初に開業した駅なのです(明治18年)。

ということで、茨城県道では東北本線の駅として唯一の停車場線「古河停車場線」があります。私は茨城県道に興味を持ってからは(というか、茨城県に引っ越してきてから)まだ古河市に足を踏み入れたことがなかったので、古河市を訪ねると同時に停車場線ぶらり旅をしようと思いました。

ホリデー・パスの切符

しかし問題はどうやって古河まで行くかということ。車で古河までならそんなに時間をかけずに行くことができるのですが、「駅までは電車を使う」というぶらり旅の原則があるため、かなり遠回りをしなければなりません。

いろいろなルートが考えられました。例えば関東鉄道常総線で下館まで行く方法。しかし関東鉄道は非常に時間がかかってしまいます。またJRだけで行くとなると、まともに乗ると非常に運賃が高いです。

そんなときに決め手となったのが、JR東日本が発売している「ホリデー・パス」。土曜・休日ならば首都圏のJR線普通列車が2,040円で1日乗り放題というきっぷです。常磐線は土浦まで、宇都宮線は小山までが範囲なので、これを使うことにしました。常磐線で一旦上野まで出て宇都宮線で行けば、乗り換えは1回で済むのも便利。

ということで、2002年2月16日、ホリデー・パス片手にさっそく出かけました。上野駅で運良く、宇都宮線の快速「ラビット号」に乗れて、ビュンビュン駅を飛ばして疾走してくれたおかげで、思ったより速く古河に到着できてよかったです。

快速ラビット号の道中、ボックスシートの隣に座っていた東京から来たらしい女性3人が古河に着くあたりで「意外と雪が積もってないねー。暖冬なのかな」って話していました。おいおい、ここはまだまだ関東平野だよ。

古河駅のホームから外を写した写真

さて、古河駅に到着。駅のホームのベンチには地元の小学生が作った座布団が敷かれていて、ほのぼのとした気分になりました。

ホームから外を眺めると、駅から延びる1本の道が。地図と照らし合わせて、これが県道古河停車場線であると確信しました。よく見たらヘキサが見える! (左の写真は小さくてわかりづらいけど。)駅のホームからヘキサが見えるというシチュエーションってなんだかうれしい。停車場線は数あれど、こういうのってあんまりないんですよ。

小さいエスカレーター

ホームを降りて改札口へ向かおうとしたとき、私は目のあたりにした光景にあ然となりました。

なんと、こんな短い階段にエスカレーターがある。階段を歩いても十段くらい。登り口から降り口までの高さは人の背丈くらいです。これはおもろい。改札口からすぐ近いところにあるので人々が多数行き交っていましたが、ここは意を決して写真撮影。カメラを向けてシャッターを切る間、おばさんが横切るのを待っててくださいました。ごめんなさい。

よく考えたら、たった十段の階段でも、体が不自由な人にとっては大変な難関になるんですね。それを考えればエスカレーターを設置することはとても良いことだと思います。


(2) 停車場線の旅

古河駅の外観

これが古河駅。茨城県の駅としては珍しく鉄道の高架化がなされており、ホームは上にあります。そのため駅の東口と西口が地上で通り抜けができ、大変便利な構造になっています。

実はかなり昔に、私は古河駅で待ち合わせをしたことがあったのですが、相手が30分くらい遅刻してずっと駅構内で待っていたことがありました。その時はこの便利な造りのために東口と西口を自転車を降りずにハイスピードで通り抜けていく人々がかなり多くいて、「おお、駅の中を自転車が走ってる」とかなり豪快な気分にさせられた記憶があります。

今は人々への周知が徹底したのか、自転車を降りずに通過する人はほとんどいませんでした(1台だけ見たけど)。

古河駅西口のロータリー

県道古河停車場線は駅から西へ向けて延びているので、西口へ出ました。これは別な角度から見た写真です。

駅前には他の駅と同様にロータリーがあるのですが、私が訪れた時はこのようにロータリーが工事中でした。停車場線ぶらり旅を始めるようになってから、私はなんとなく「駅前ロータリーマニア」になっているのですが、おそらくこの駅にも何か新しいものを作るのでしょう。今から何ができるのか楽しみです。

(追記): 私が訪れたのは2002年2月だったのですが、その後の情報によると、このロータリーには何かとてつもないものが完成したらしい(詳細は不明)。

コモディイイダの建物

左の写真の道路沿いにあるのが、ロータリーの付け根にあるスーパー「コモディイイダ」。なんか不思議な名前のスーパーです。

このコモディイイダは巨大高層マンションの1階になっています。あまりの巨大さに目がくらむほど。下から見上げた感じでは20階建てくらいだったように見えます。マンションの写真を撮ろうと思ったのですが大きすぎてとても写真に収まりきらないのであきらめました。間違いなく古河市で最も高い建物だと思います。

写真の道が起点付近の県道古河停車場線です。とても広い道で洗練された感じです。おそらく駅前の再開発事業でマンションを建てた際に道路も一緒に整備したのだと思います。

(関連リンク): コモディイイダのホームページ
コモディイイダって東京・埼玉を中心にした大チェーン店だったんですね。知りませんでした。ホームページを見た限りでは、茨城県内ではここだけにあるようです。

古河停車場線のパノラマ写真

少しだけ県道を先へ進んで、県道パノラマ写真を撮ってみました。(写真4枚を結合)

写真右側奥が古河駅、その手前がコモディイイダ、そして右奥から左奥へカーブしながら延びる道が県道古河停車場線です。

ちょっと写真ではわかりにくいかもしれませんが、私が立っている位置をちょうど境にして、右側(駅の方)はとても整備され洗練された道路、そして左の方は昔ながらの駅前商店街の風情を見せ、非常に好対照になっています。


古河停車場線の道の風景

もう少し歩いたところでもう一度撮影。2車線ある道ですが、すっかり昔ながらの道になってきました。

「懐かしさと新しさが調和する街・古河市」。そんなキャッチフレーズが頭に浮かびました。私の鈍い頭で浮かんだ言葉なので全然大したものではありませんが、このあと古河市を探索して、その思いはますます深くなることになるのでした。

終点の交差点にある時計台

と言ってるうちに、終点の交差点(県道261号野木古河線交点)に到着。長さ約300メートルの停車場線ぶらり旅は終わりを告げました。

交差点はT字路になっていて、突き当たりに時計台があります。なんだかとってもいい感じ。私のぶらり旅を出迎えているようだ。

この時計台は何なのか詳細は不明ですが、少なくとも教会とかではなさそうに見えました。

さて、例によってあっという間に停車場線ぶらり旅は終了してしまったので、これから古河市内をぶらぶら探索することにしよう。


(3) 古河市内のみち

県道野木古河線の風景

続いては県道261号(野木古河線)を北上しました。

地図を見る限りでは、この道は旧国道4号だったように見えます。現在は市街地の東側1キロ先に国道4号が通り、さらに7キロ東には新4号バイパスも通っているため、この道は地元の人たちの生活道路として定着しているようです。

街路灯と歩道が整備され、商店が立ち並ぶ奥ゆかしい道になっていて、あまり渋滞もしていないようで(曜日や時間帯にもよるんでしょうけど)、とても好感が持てます。

県道野木古河線をしばらく歩くと、県道294号(東野田古河線)交点があるので、右折して今度はこの道を歩くことにしました。

県道東野田古河線の道の様子

これが県道294号(東野田古河線)。がーん、狭い。

鉄道をくぐって東西に向かう道は、ここと県道250号(古河総和線)など非常に少ないため、交通量も多く、みなさんかなり難儀されてる様子でした。私も前後からやってくる自動車をよけながら歩かなければならなくて大変でした。

この後で、東西を走るもう1本の県道・古河総和線も歩いたのですが、やはり似たような感じでした。

高架下をくぐる県道東野田古河線
しばらく県道東野田古河線を歩くと、JR宇都宮線の高架下へとやってきました。ここは鉄道の高架化が実現するまでは、開かずの踏切として有名だったそうです。高架化が実現してよかったですね。現在は踏切の警報機の代わりにヘキサが設置されています(冗談)。
謎の「起点」標識

その高架下付近にあった「起点」の表示。

???

ここが県道東野田古河線の起点なのか?

四季の径(みち)の碑

もちろんそうではなく、高架化された鉄道の敷地跡を利用して作られた散歩道「四季の径(みち)」の起点です。

私はほんのちょっと歩いただけですが、とてもよい雰囲気の道でした。

四季の径(みち)の風景

四季の径(みち)の実際の風景はこんな感じ。古河市の人々の憩いの場所としてすっかり定着しているようです。

ところで「起点」の表示ですが、これが県道にもあったらいいのにな。都道府県によってはときどき設置されているところもあるみたいですが、茨城県では普通の人にも目立つような表示は見たことがありません。

さてこの後、また時計台のところまで今来た道を戻って来ました。次は唯一まだ未訪問の1ケタ県道である県道9号(佐野古河線)を歩くことにしよう。


(4) そして渡良瀬川へ

県道佐野古河線のヘキサ

さて続いては、古河市の中心部から西へ延びる県道9号(佐野古河線)を歩くことにしました。

この県道は古河市と栃木県佐野市を結んでおり、途中で埼玉県と群馬県の領地も通るため、都道府県道としては異例の4つの県を通る県道になっています(もしかして全国唯一かもしれません)。しかし茨城県内の区間は古河市だけで、長さも約1.7キロメートルと短いため、茨城県では珍しく徒歩で全線踏破可能な主要地方道になっています。

ということで、さっそく徒歩での踏破を開始。県道261号(野木古河線)との交点の「本町二丁目」交差点から始まります。この本町二丁目交差点と、先ほどの古河停車場線終点の交差点は、いずれも歩行者と自動車の信号が分離式(スクランブル交差点のように、自動車の信号が全方向赤になってから歩行者の信号が青になる)になっていて、非常に好感が持てました。

県道佐野古河線の様子

これが佐野古河線の様子です。交通量もそんなに多くなく(曜日や時間帯によるのだろうけど)、国道のような大型トラックの姿は皆無で、のんびりした味わいがあります。

やっぱり昔ながらの街道の雰囲気を残しているような、大変おもむきのある道です。

中心市街地ということで仕方がないのかもしれませんが、これで歩道が設置されていればもっといいのにな、と思いました。

篆刻美術館の建物

しばらく歩くと、とても古風な、蔵のような建物が見えてきました。

これは「篆刻美術館」という、中国で生まれた書道芸術の一種である篆刻(てんこく)と呼ばれる書を集めた美術館だそうです。そしてこの建物は、ここで酒類販売業を営んでいた平野家の石蔵として、大正9年(1920年)に建てられ、その後古河市が改修工事を行い、現在は篆刻美術館として、保存・再生・活用が図られているということです。国の登録有形文化財にも指定されています。

てなわけで、本来は中に入ってゆっくり芸術観賞すべきなのでしょうが、とりあえずパス…。

またこの隣には「街角美術館」というのもあり、またこの道から少し外れたところには「歴史博物館」もあって、歴史や文化に浸るにはもってこいの県道になっています。

古河幼稚園の看板

…と、いい気分に浸って県道をさらに歩いてたら、県道沿いにおもしろい看板を立て続けに発見。

1つは「古河幼稚園」の看板。ほどよい朽ち果て方がいい味ですが、一見どこにでもあるような看板です。しかし下のほうに小さい字で「三ツ子の魂百まで」。幼稚園のキャッチコピーとしては異色の出来だと思うのは私だけでしょうか。

今日一日安全運転のおじさんの看板
もう1つは、県道に面した牛乳販売店の軒先に立てかけてあった看板。等身大なので思いっきり目立ってます。安全運転を呼びかける看板ですが、車を運転してたら思わず脇見をしてしまいそうになるかも。

国道354号・三国橋
さらに歩いて、市街地からだんだん離れていき、渡良瀬川を渡る国道354号・三国橋にて県道佐野古河線は終了。橋の銘板によると、この橋は昭和43年9月竣功だそうです。この橋の向こうはもう埼玉県です。

埼玉県と茨城県の県境を示す標識

三国橋を渡ってみました。そしたら橋の中央の歩道脇ににちゃんと県境を示す表示板がありました。よって正式にはこの地点で県道佐野古河線の茨城県区間は終わりということになるのかな。

主要地方道を徒歩で全線踏破したのは初めて(ほんとはこの先、埼玉、群馬、栃木と長い長い県道ですが)。私はすっかり満足しました。

新三国橋と古河岩井自転車道線

三国橋を対岸まで渡って埼玉県の土地を踏んでから、再び橋を戻り、次は渡良瀬川の土手を通る県道503号(古河岩井自転車道線)を南下。国道354号バイパスの新三国橋を眺めたりしました。

写真は国道354号バイパス・新三国橋の下をくぐる県道503号古河岩井自転車道線。雄大な国道の橋と、コンパクトな県道が好対照を見せています。

この後、古河駅へ戻り、再びホリデー・パスを使ってJR宇都宮線で上野駅を経由して、帰途につきました。(おわり)


あとがき

今回、JR東日本のホリデー・パスを使って、得した気分で旅行したのですが、自宅に帰ってからよく調べてみたら、途中で東武野田線と東武伊勢崎線・東武日光線を使って古河まで行ったほうが、わずかですが運賃が安かったことが判明。がっかり。