県道道メモ(2008年4月13日)

4月1日に栃木県道42路線の路線名が変更

茨城県で路線名が変更、そして栃木県でも…。

すでに本サイト内で少し紹介していますが、茨城県では4月1日に茨城県道6路線の路線名が変更になりました。変更になった路線は以下の通りです。

茨城県道の路線名変更一覧
路線番号 路線名(変更前) 路線名(変更後) 筆者による変更理由の推測
12 烏山御前山線 那須烏山御前山線 烏山町が合併により那須烏山市へ移行したことによる
29 常陸太田烏山線 常陸太田那須烏山線 同上
207 高田下館線 高田筑西線 下館市が合併により筑西市へ移行したことによる
234 小田野口中ノ坪線 小田野大那地線 小字名「小田野口」・「中ノ坪」の代わりに大字名「小田野」・「大那地」を採用
286 中飯岩瀬線 深沢岩瀬線 小字名「中飯」の代わりに大字名「深沢」を採用
316 真岡下館線 真岡筑西線 下館市が合併により筑西市へ移行したことによる

この6路線はいずれも栃木県との県境をまたいでおり、栃木県と共通になっている路線です。そこで栃木県の方ではこれらの路線はどうなっているのだろう? と思ったので、栃木県庁のサイトを見てみたところ、ありました、ありました。

栃木県における路線名変更の詳細

栃木県のホームページから、中段あたりにある「まちづくり」のカテゴリ内の「道路」を選択し、次いで「道路の情報」を選択すると、「市町村合併等に伴う県道路線名の見直しについて」というページにたどり着くことができます。

このページには次のように記載されています。

市町村合併等に伴う県道路線名の見直しについて

平成17年以降の市町村合併により、県道の路線名で使用している地名等が変更されている場合があり、現行の路線名が旧地名を使用したまま長期間放置されると、道路利用者に混乱が生じる恐れがあることから、平成20年4月1日付けで、県道路線名の見直しを行うこととしました。

今回、栃木県内の県道294路線のうち、42路線の名称を変更します。

そしてこの後に、今回変更された42路線の一覧表と、それらの路線を示した地図がそれぞれPDFファイルで提供されています。このPDFファイルをもとに、栃木県で今回路線名が変更された県道の一覧を表にすると以下のようになります(路線名の表記方法は原文のまま)。

栃木県で今回名称が変更された県道路線一覧
No. 路線番号 路線名(変更前) 路線名(変更後)
110宇都宮 烏山線宇都宮 那須烏山線
212烏山 御前山線那須烏山 御前山線
325烏山 矢板線那須烏山 矢板線
429常陸太田 烏山線常陸太田 那須烏山線
541筑波 益子線つくば 益子線
652矢板 馬頭線矢板 那珂川線
756下塩原 矢板線塩原 矢板線
861真岡 烏山線真岡 那須烏山線
973宇都宮 河内線上横倉 下岡本線
1076坂本 白河線伊王野 白河線
1177宇都宮 船生 藤原線宇都宮 船生 高徳線
12113東那須野停車場線那須塩原停車場線
13148御厨 多々良停車場線野田 多々良停車場線
14150山久保 今市線山久保 平ケ崎線
15169青柳 日光線栗山 日光線
16171下平 上境線山内 上境線
17181北高根沢 氏家線上高根沢 氏家線
18200秋山 万町線秋山 葛生線
19201作原 上町線作原 田沼線
20207高田 下館線高田 筑西線
21218名草 坂西線名草 小俣線
22225花岡 狭間田線花岡 狹間田線
23227坂西 桐生線小俣 桐生線
24231山内 大藤線山内 牧野線
25232太郎沢 大内線矢又 大内線
26234小田野口 中ノ坪線小田野 大那地線
27239河内 上河内線白沢 下小倉線
28245青柳 今市線栗山 今市線
29248県西大規模公園線日光だいや川公園線
30254毛里田 坂西線丸山 葉鹿線
31256龍舞 山前停車場線竜舞 山前停車場線
32265粟の宮 喜沢線粟宮 喜沢線
33269大平山公園線太平山公園線
34276井頭県民公園線井頭公園線
35278中野 御厨線中野 福居線
36283仙波 中央西線仙波 葛生線
37286中飯 岩瀬線深沢 岩瀬線
38308県北大規模公園線那須野が原公園線
39316真岡 下館線真岡 筑西線
40337鹿沼 粟野線下日向 粟野線
41339小山 南河内線小山 下野線
42342大田原 寒井線中田原 寒井線

気づいたことをいくつか

私は茨城県以外の都道府県道に関しては全くの素人でして、栃木県道に関しても不勉強のためわからないことが多々ありますが、この表を見て私なりに気づいたことをいくつか挙げてみます。

(1) 県境をまたぐ共通の路線なのに、路線名が両県で異なるものがこれまで存在していた

上表の路線番号41の項を見ると、「筑波益子線」「つくば益子線」へ変更されています。この路線は現在では茨城県つくば市から栃木県芳賀郡益子町へ至る県道ですが、合併によりつくば市が誕生する前は、茨城県筑波郡筑波町から栃木県芳賀郡益子町へ至る県道でした。そのためこの路線は以前は茨城県においても「筑波益子線」という路線名だったのですが、1988年(昭和63年)1月31日に筑波町がつくば市と合併したのち、茨城県道としては1995年(平成7年)3月30日に「つくば益子線」へ路線名が変更されました。しかし栃木県の方では依然として「筑波益子線」という路線名のままになっていました。これは例えば茨城県側から「県道つくば益子線」を走ってきて県境を越え、栃木県に入った瞬間に「県道筑波益子線」に名前が変わってしまう(読み方は同じですが)という事態になっていたことになります。今回の栃木県側での路線名変更により、ようやく両県において路線名称が統一されたことになります。

(2) 26年の時を経て…

上表の路線番号113の項を見ると、「東那須野停車場線」「那須塩原停車場線」へ変更になっています。若い人でしたら「東那須野なんて駅あったっけ?」という疑問を持たれるかも知れません。東那須野駅は旧国鉄東北本線の西那須野駅と黒磯駅の間にあった駅です。1982年(昭和57年)6月23日の東北新幹線開業により、この駅は新幹線が停車する駅となり、同じ日に駅名が「那須塩原駅」へ改められました。しかしこの駅に通じる県道「東那須野停車場線」は路線名の変更がされず、旧駅に基づく路線名のままずっと存在していました。今回の変更により、東北新幹線開業から約26年の時を経て、ようやく駅名と路線名とが一致したことになります。

(3) 全体を見た路線名変更の傾向

今回の栃木県道42路線の路線名変更を全体としてみると、合併による市町村名変更に伴うものは意外と少ないように感じられます。どちらかというと

というような変更が多いように見受けられます。市町村合併を契機として、「この際いい機会なので路線名を全面的に見直すことにしよう」というように考えたとみるのが妥当ではないかと思います。

各県の公報による告示の状況

さて、今回の栃木県道の路線名変更はこのように大規模なもので、茨城県のほか、群馬県・福島県へまたがる県道も含まれているため、これら隣県への波及という観点も見逃せません。そこでこれらの県における公報には、今回の変更に関する告示がどのように登載されているかを調べました。

群馬県
群馬県では、4月1日の当日に発行された群馬県報において、この件に関する告示が3件登載されています。これら3件のうち1件は題名が「県道路線認定に関する告示の一部改正」、残り2件は「路線の認定の告示の一部改正」となっており、いずれも過去に出された告示を改正する告示という形式で実施されています。
福島県
福島県においても、4月1日に発行された福島県報において、3件の告示が登載されています。題名は「県道の路線の認定の公示内容を変更する件」となっており、群馬県と同様に過去の告示の改正という形式になっています。
茨城県
茨城県においては、3月21日発行の茨城県報に告示がされています。茨城県では題名が「県道の路線名の変更」となっていて、過去の告示の改正という形ではなく、単に路線名が変更されたことを告知する形式になっています(茨城県では平成7年からこのような形式で表すようになっているようです)。

これら3県の告示の全文を、当サイトの別ページに掲載しました。ご参考になれば幸いです。

さて最後に、肝心の本家本元である栃木県ではどうかというと、栃木県の発行する栃木県公報には、今回の県道路線名変更に関する告示がこれまでのところ見当たりません。平成20年1月〜3月に発行された分と、4月1日から11日までに発行された分をひと通り調べましたが載っていませんでした(もしかしたら見落としているだけなのかも知れませんが…)。

ただし道路法においては、都道府県道の路線名(あるいは路線番号)のみを変更する場合は、告示を義務付ける規定は存在しないようですので、告示がなかったとしても法に反するというわけではないようです。今回のような事例は、公報に登載するかどうかは各都道府県の裁量に委ねられているのが現状ではないかと思います(例えば茨城県においても、平成7年より以前ではこのような場合は公報への登載はほとんどありませんでした)。

しかし道路の歴史を調べる立場としては、できれば記録を公文書に残しておいて欲しいな…というのが率直な感想です。今回のようにホームページ上でお知らせという形で載せる方法は、一般に周知させるという点では非常に有意義だと思いますが、将来たとえば50年後・100年後の人が過去の歴史を調べたいと思った時に、公文書は重要な資料の一部になるのではないかと思うのです。各自治体の方々には是非ともご検討いただけたら幸いです。