GO SOUTH! — 1991 Summer —
A Journey with Yamaha FZR250.
のち突如 のち のち のち のち
白浜はすごい雰囲気だった。ホテルやマンションが林立して、空港まであって、関東の三浦半島や伊豆に当たるのが関西の白浜なのだと思った。いかにも高級避暑地って感じだった。走っているうち海水浴場があって人がけっこう泳いでたので寄ってみた。こんな時期にもかかわらず家族連れや男ばかりのグループや女ばかりのグループやアベックなど、さまざまな人種が楽しそうにはしゃいでるのを、オレも上半身裸になって階段に腰かけてボーッと見てた。ここの海岸はメッチャクチャきれいだった。ごみひとつ落ちていなかった。高級避暑地だけあってこんな所にまで管理が行き届いているのかと思った。
白浜を出てR42を走っていると、道路脇の土砂止めのコンクリートの上に立って海に向かってひとりで踊りながら歌っている女がいた。オレは一瞬何が起こったのかわからなかった。世の中には豪快な女もいるもんだ。ほんの一瞬だけ顔見たら野沢直子に似ていた。もしかして本物? ニューヨークに行ったと思ったらこんなとこにいたのか。
そして紀伊半島の千変万化の海岸線をさらにたどり、午後0時30分、潮岬へ。灯台の上まで登れたので良かった。灯台の写真1枚撮ってR42へ逆から帰ろうとしたら、右手に広い野原が現れたので止まった。野原の中へ入ったら「本州最南端」の碑があった。灯台の場所ではなく実はこっちが真の本州最南端だったのだ。もうすっかりいい天気になってて、オレはさっきから昼寝したくてウズウズしてたので、写真撮ってから野原のド真ん中に横になった。そして午後2時〜3時の1時間眠った。
目が覚めて、もう遅いから熊野那智神社はパスだと思いながら辺りを見回すと、木かげにひとりの女の子がすわっていた。本を読んでいるように見えて、髪をうしろで編んでいるいかにも文学少女って感じだった。オレは声かける気はなかったが気になったのでゴミ捨てるついでに近くへ寄って見てみたら、本を読んでいるのではなくて実はひざまくらビシバシベイビーだった。男が木のかげで見えなかっただけなのだ。当然のようにオレはそのあとFZRをメチャブッ飛ばした。「一生に一度でいいからひざまくらってやってみてえなー」と心の中で悲痛な叫びをあげた。
あとはもうずっとノンストップで走った。ついに三重県に突入し、沖縄県を除いて行ったことのない都道府県はなくなった。
本日の走行距離: 249km。